2017年1月23日月曜日

【経済学】資本論【解説】

19世紀にプロイセン王国出身の経済学者カール・マルクスが発表した、資本主義経済に関する全3巻の著書です。

  超訳

資本主義社会では、一部の資本家に富が集中し貧富の格差が生まれるよ。そして将来的に資本主義が成熟すると、労働者の不満が爆発し社会主義に移行するんだ。

  解説

  背景

19世紀のヨーロッパでは資本主義体制によって、長時間労働や恐慌といった問題が発生していました。マルクスは、資本家の息子であるフリードリヒ・エンゲルスの助けを借り※1、資本主義の仕組みを批判的に分析した本、資本論を発表します。

※1:資本論2、3巻は、マルクスの遺稿をエンゲルスがまとめたものです。

  商品の価値とは

資本主義社会ではあらゆる物が商品になり、商品の集まりが富となります。資本論は、富の最小単位である商品の分析から始まります。

商品には2つの性質があります。使用価値交換価値です。使用価値は、使用して役に立つ価値のことです。交換価値は、他の商品と一定の比率で交換できる価値のことです。交換価値が等しい商品同士は、交換できます。これを等価交換と言います。

  貨幣とは

貨幣には2つの性質 があります。 単なる貨幣としての貨幣資本としての貨幣 です。単なる貨幣としての貨幣は、商品の交換を仲介する貨幣のことです。資本としての貨幣は、より多くの貨幣を生みだす貨幣のことです。両者は流通形態が違います。

商品をW、貨幣をGとすると※2単なる貨幣としての貨幣は「商品を売る→貨幣を得る→新たな商品と交換する」という流通形態でW-G-W、資本としての貨幣は「貨幣を売る→商品を得る→より多くの貨幣と交換する」という流通形態でG-W-G'と表せます。
※2:ドイツ語で商品をWare、貨幣をGeldと呼びます。

  資本とは

資本とは、自己増殖する価値のことです。そのため資本としての貨幣は、新たな貨幣を生みます
。このG-W-G'を意識的に行う人が資本家です。資本家は手持ちの貨幣で工場を建て、労働者を雇い、商品を生産、販売することで手持ちの貨幣を増やします。

  交換価値の正体とは

19世紀、交換価値の正体を"商品に費やした労働の量"だとする考えがありました。これを労働価値説といいます。説に従えば、資本家と労働者の間では"賃金"と"労働"が等価交換されるはずです。しかし実際は、資本家に富が集中していました。

  賃金と等価交換されるものとは

資本論では、賃金と等価交換されているのは"労働"でなく"労働力"と説明します。例えばネジを作る場合、賃金は労働者のネジの出来高(労働)に対してではなく、労働者のネジを作る能力(労働力)に対して支払われると考えたのです。

資本主義社会では、労働力も商品となります。資本論によると、労働力の交換価値は、労働者が引き続き働くために必要な費用(生活費)です。労働者は自分の労働力を資本家に売り、代わりに賃金(生活費)を得ます

  労働力商品の特殊性

一般的な商品、例えば水は使用する(飲む)とその分価値が無くなります。しかし労働力は、使用する(労働させる)ことで新たな価値を生む特殊性があります。資本家は、この"労働力商品の特殊性"を利用します。

  格差が生まれる理由

賃金は、仕事の成果(労働)に対して支払われるものではありません。どれだけ働いても賃金は一定です。そのため資本家は、労働者を低賃金で長時間働かせようとします。何故なら、労働者が賃金以上働いた分が資本家の利益となるからです。

この利益を"剰余価値"、剰余価値を得る行為を"搾取"と言います。資本論では、この搾取によって資本家と労働者の間に富の格差が生まれると説明します。

  資本主義の未来

資本論では、資本主義の未来を予言しています。それは「競争により利益を独占する大資本家が生まれる→労働者はますます貧困に苦しむ→労働者が団結し反逆が起こる→資本家の資本(私有財産)が没収される」という資本主義崩壊の未来です。

  余談

  マルクスの影響

ロシアでは、マルクスの思想をベースに社会主義革命が起こり、ソ連が誕生しました。しかし、資本主義が成熟していないのにも拘らず改革を進めたため、失敗したと言われています。

  マルクス記念碑の頭像率

マルクスの記念碑(墓含む)は、何故か顔メインが多いです。画像は左からイタリア、イギリス、ドイツにあるものですが、ドイツ版は顔の高さだけで7.1mあります。ちなみにイギリス版は、過去に爆破未遂にあっています。敵も味方も多い方です。


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